二十世紀梨から鳥取和牛まで! こだわりの環境を生かして生産される特産物が勢揃いの鳥取県

鳥取県の食材を日本全国の飲食店へ売り込むには

中国地方の北東部に位置し、中国山地に囲まれる鳥取県では、豊かな自然環境を活かして多種多様な農畜産物が生産されています。日本海に面する海岸部では、新鮮なイワシやアジなどの水産物が水揚げされています。

また、日本最大の砂丘である鳥取砂丘では、広大な砂礫地を活用した砂地農業が盛んであり、砂丘らっきょうなど、全国的に知られた特産物も多く存在します。

しかし、ブランド化は進んでいるものの、まだ全国に広く販売されていない食材も多くあり、特に関東以北の地域では新たな販路の開拓が期待できます。

鳥取県産の食材をこれまで販売経験のない地域で展開するためには、どのような戦略が考えられるでしょうか。遠方の新規市場への進出について考えてみましょう。

鳥取県で有名な野菜とは?

鳥取県では数多くの野菜が生産されており、火山灰の堆積によってできる黒ぼく土壌や、砂丘地の砂質土壌などの特殊な環境を利用して、全国的にも珍しい野菜が栽培されています。
その中から、鳥取県を代表する有名な野菜をご紹介します。

鳥取を代表する野菜「砂丘らっきょう」

鳥取を代表する野菜「砂丘らっきょう」
鳥取県東部の福部町は、鳥取砂丘がある町として有名ですが、この鳥取砂丘の一画で栽培されているのが、鳥取県を代表するブランド野菜である「砂丘らっきょう」です。

「砂丘らっきょう」の歴史は古く、江戸時代末期に参勤交代のつけ人が小石川薬園より持ち帰ったことから栽培が始まったと言われ、大正時代になると本格的に生産をスタートし、昭和26年に「砂丘らっきょう」というブランド名で売り出すようになります。

らっきょうは栄養分が多い土壌で栽培すると飴色に育つ傾向がありますが、「砂丘らっきょう」を栽培している鳥取砂丘の土壌は余計な栄養分が少ないことから、綺麗な色白に育ち、さらにハリと締まりが良くなるため、シャキシャキとした歯ごたえの良い食感のらっきょうができあがります。

「砂丘らっきょう」は塩水と酢水で洗った「洗いらっきょう」、1cmほど根を残して出荷される「根つきらっきょう」の2通りの販売方法があり、「砂丘らっきょう」を使用して作る「甘酢漬け」や「塩漬け」といった漬物も高い人気を誇ります。

白い果肉と強い粘りが自慢のながいも「ねばりっこ」

白い果肉と強い粘りが自慢のながいも「ねばりっこ」
ラッキョウの他にも鳥取県の有名な特産野菜として知られているのが「ねばりっこ」という品種のながいもです。

ながいもは中国が原産地の野菜ですが、鳥取県では明治24年頃から自家用としてながいもの栽培が始まり、昭和30年代頃にスプリンクラー灌漑施設が整備されたことで本格的にながいもの栽培がスタートしました。

鳥取県のオリジナルのながいもでは「砂丘ながいも」というブランドが有名ですが、「ねばりっこ」は、鳥取県園芸試験場によって開発育成された新品種であり、「砂丘ながいも」に、形状が良く、粘り気の強い系統の品種を交配させて誕生しました。

「ねばりっこ」は粘りが強く、甘みとコクがしっかりとあるのが特徴で、様々な料理に使うことができます。とりわけ、滑らかな口当たりを堪能できる麦とろ飯にして食べるのがおすすめで、さらに地元では「砂丘ながいも」を使って作る磯辺揚げも高い人気があります。

自然豊かな準高冷地で育てられる「日南トマト」

鳥取県の南西端に位置する日南町は、森林が町内の9割を占めるなど県内でも自然が多い地域として知られています。この広大な自然の中で栽培されている野菜が「日南トマト」です。

日南町では昭和30年代からトマトの栽培が開始され、平成に入ると栽培面積が大幅に増加し、今では日南町を代表する特産野菜として親しまれています。

「日南トマト」は、昼夜の寒暖差が激しい地帯である標高400から600メートルの準高冷地で栽培しており、このような栽培に適した環境で育てられた「日南トマト」はトマト本来の甘みや酸味がバランス良く凝縮されていることで高い評価を得ています。

「日南トマト」は日南町のブランドトマトとして様々な展開を行っており、ジュースやレトルトカレーなどの加工品の販売や「日南トマト」を使った料理やスイーツを楽しめる専門店も人気があり、今では「日南トマト」が町おこしとして地域の活性化にもつなげています。

「砂丘らっきょう」「ねばりっこ」「日南トマト」のような、都心部では栽培するのが難しいこだわりの野菜を全国の飲食店に向けて売り込む際には、栽培方法を画像付きで解説したパンフレットを作成して配布したり、ブランド野菜を使うことでメニューに付加価値をつけれることをアピールしたりと、相手が興味を引きそうなポイントを強調して売り込んでいくといいでしょう。

鳥取県で今注目の果物とは?

鳥取県は昼と夜で寒暖差の激しい地域が多いことから、甘味が美味しさの決め手となるメロンやスイカといった果物の栽培に適しており、さらに黒ボク土の土壌を生かして、高品質な果物も数多く生産しています。

その中から、今注目の鳥取県産の果物をご紹介します。

国内外で人気を呼んでいる「二十世紀梨」

国内外で人気を呼んでいる「二十世紀梨」
鳥取県は梨の一大産地として全国的に有名で、県内では様々な品種の梨が栽培されていますが、中でも注目の品種が「二十世紀梨」です。

「二十世紀梨」は明治21年に千葉県で発見され、明治37年に二十世紀を代表する品種になってほしいとの想いから「二十世紀梨」という名に命名されました。

鳥取県での「二十世紀梨」の栽培は明治30年代頃に北脇永治という人物が苗木を鳥取県に持ち帰り、栽培をスタートしたのが最初だと言われており、今では「二十世紀梨」の出荷量は鳥取県が全国1位を誇り、シェアは70%を超えています。

「二十世紀梨」は一般的な梨よりも果汁が多く、甘味と酸味のバランスがよくシャキシャキとした肉質です。

「二十世紀梨」は主に関西方面に出荷されていますが、出荷の約5%はアメリカや台湾、香港といった海外にも輸出されており、国内外で多くの人々から絶賛を得ています。

秋の訪れを告げる甘柿「輝太郎」

柿は、秋に旬を迎える果物の一つとして人気を誇りますが、鳥取県では多様な品種の柿を生産しており、中でも近年、栽培面積を伸ばしているのが「輝太郎(きたろう)」という品種の柿です。

鳥取県で誕生したオリジナルの品種である「輝太郎」は1990年代前半から早生の甘柿の育成を目指して様々な品種の交配が行われた中から選抜育成されたもので、2010年に正式に品種登録されました。

「輝太郎」という名前の由来は、出身が鳥取県で知られる水木しげるさんの代表作である
「ゲゲゲの鬼太郎」にちなんで命名されており、ゲゲゲの鬼太郎のスリーブケースが付いた「輝太郎」も数量限定で販売されています。

早生甘柿である「輝太郎」は糖度が平均17%と一般的な品種の甘柿よりも高く、さらに果肉は比較的柔らかいことから、上品な甘さと、とろけるような食感を堪能することができます。

20年の歳月を費やし誕生した新品種苺「とっておき」

数ある鳥取県のオリジナル品種の果物の中でも近年、注目を集めているのが「とっておき」という品種のイチゴです。

鳥取県には「章姫」と呼ばれるオリジナル品種のイチゴが存在しますが、「章姫」は鳥取県の気象条件では果実糖度・硬度低下等のリスクが高くなるという課題がありました。

そこで、鳥取県の気象条件に適した多収で高品質に育つイチゴの開発をスタートし、「章姫」を様々な品種のイチゴとかけ合わせ、20年もの歳月を費やした末、2018年に満を持して鳥取県オリジナルの新品種「とっておき」が誕生しました。

「とっておき」は、糖度が高く上品な甘さを楽しむことができ、果実は緻密で歯ごたえを感じる硬さで食べ応えもあり、何も添えずに生でそのまま食べるのが最もおすすめの食べ方となっています。

「二十世紀梨」「輝太郎」「とっておき」のような県内でしか生産されていないオリジナル品種の果物を全国の飲食店に売り込んでいくには、高品質なフルーツを多く扱っているフルーツパーラーをメインターゲットに、栽培時にこだわっているポイントや一般的な品種よりも美味しい理由など、特徴や魅力をアピールしながら売り込んでいくといいでしょう。

鳥取県のご当地水産物

鳥取県は多種多様な海洋生物が生息する日本海に面していることもあり、海の幸が充実しており、ブランド化している水産物も数多くあります。

そんな鳥取県が誇るご当地水産物をご紹介しましょう。

鳥取県が誇る極上の冬の味覚「松葉がに」

鳥取県が誇る極上の冬の味覚「松葉がに」
日本人にとって冬の味覚の一つとして人気の高いズワイガニは、地域によって呼び名が変わり、山陰地方では「松葉がに」という名称で呼ばれています。

日本海に面する鳥取県では毎年冬になると、大きな殻に身がぎっしりと詰まった
活きのいい「松葉がに」が水揚げされており、翌年の3月頃まで漁が行われます。

鳥取県では「松葉がに」の付加価値を高めるために、甲羅の幅が11cm以上の高品質な「松葉がに」には漁船名を記したタグをつけて出荷しており、さらに甲羅の幅が13.5㎝以上で重さが1.2㎏以上の「松葉がに」には特級品である「五輝星(いつきぼし)」を証明するタグがつけられるなど、ブランドの価値を高めています。

毎年11月の第4土曜日は「松葉がに」の旬のシーズンに突入したことをPRするために推進協議会がこの日を「松葉がにの日」と制定しており、今では鳥取県を代表する冬の味覚として旅行客からも絶大が人気を誇っています。

天然ならではの上質な味わい「夏輝」

現在、鳥取県では様々なブランドの特産物を展開していますが、鳥取県で初めて商標登録されたブランド水産物として知られているのが天然岩牡蠣の「夏輝」です。

鳥取県産の生ガキは、中国地方の最高峰である大山の山地から流れる豊富なミネラル成分を含んだ水が流れつく日本海に生息しており、豊富なプランクトンを食べて育っていくことから、この地域で獲れる水産物は品質が一際高いことで 知られています。

鳥取県内で水揚げされた生ガキは「夏輝」というブランド名で販売されており、ブランド名は、鳥取の夏の海のように輝きを放つ天然の岩ガキを広めていきたいという想いから命名され、名前の通り毎年夏に漁が解禁になることから、鳥取県の初夏の味わいとして多くの人々が待ちわびています。

4年以上かけてゆっくりと成長する「夏輝」は、水揚げされる夏の時期が身に旨味を蓄えて最も大きくなっていることから、クリーミーで濃厚な味わいと楽しむことができ、また、ノロウィルスと貝毒の検査を必ず済ませてから出荷することから、生でも安心して食べられるのも魅力です。

脂のりがよいプレミアムな魚「とろはた」

鳥取県でブランド化している水産物の中でも近年、一際注目を集めているのが「とろはた」と呼ばれる魚です。

「とろはた」は、鳥取県で古くから親しまれているハタハタと呼ばれる大衆魚で、スズキ目に分類され、淡白で脂のりが良い魚として人気があります。

鳥取県はハタハタが年間を通して脂のりが良いことに着目し、全国にその美味しさを広めていくために、2010年に「とろはた」という名でブランド展開をスタートしました。

「とろはた」というブランド名は全長20cm以上の大型のハタハタのみが名乗ることができ、大型のハタハタは脂の含量が最大20%を占めることもあるなど脂のりに自身があり、その名の通りとろけるような食感を楽しむことができます。

「松葉がに」「夏輝」「とろはた」といった、ブランド化している鳥取県注目の水産物を全国の飲食店に使ってもらうには、全国の有名なブランド水産物を取り扱う寿司屋や高級料亭をターゲットにして積極的にアプローチし、売り込む際には鳥取県のこだわりの水産物を料理に使うことで、ライバル店との差別化を図れることをアピールしていくのもいいでしょう。

鳥取県産で人気のある畜産物

鳥取県では山間地域を中心に、様々な畜産物の生産が行われており、広大な自然環境の中で、多くの家畜たちがのびのびと育てられています。

その中から鳥取県で人気の畜産物をご紹介しましょう。

日本一に輝いた実績を持つ「鳥取和牛」

日本一に輝いた実績を持つ「鳥取和牛」
鳥取県では江戸時代から続く和牛の産地として有名で、大山市でかつて行われていた牛馬市は日本三大牛馬市のひとつとして栄えていました。

鳥取県では現在も中国山地とその周辺で様々な和牛が育てられており、その中でも鳥取県を代表する和牛として絶大な人気を誇るのが「鳥取和牛」です。

「鳥取和牛」は肉質等級の3等級以上の黒毛和種が名乗ることができる鳥取県を代表する高級和牛で、2018年に開催された和牛日本一を競う審査大会である全国和牛能力共進会で肉牛群において第1位を獲得するなど、日本一に輝いた実績を持っています。

「鳥取和牛」は広い自然の中でストレスなく育てられ、上質な肉質を作りあげるために独自の飼料を与えているなど、徹底した飼育環境で飼育しており、このような環境で育った「鳥取和牛」は、コクのある赤身と上品な甘みの脂身を兼ね備え、噛めば噛むほど旨味が広がり、高級和牛ならではの上質な口どけを堪能することができます。

口に入れた瞬間にとろける「鳥取和牛オレイン55」

オリーブオイルには数多くの健康効果をもたらすオレイン酸が豊富に含まれていることで知られていますが、そんなオレイン酸は牛肉にも含まれていることで近年注目されています。

鳥取県で代々受け継がれてきた鳥取和牛などの鳥取系と呼ばれる血統には、多くのオレイン酸が含まれている傾向があり、鳥取県ではオレイン酸の含有量が特に多い鳥取和牛を「鳥取和牛オレイン55」というブランド名で販売を行っています。

「鳥取和牛オレイン55」は、4等級以上の等級で脂肪中にオレイン酸を55%以上含有している鳥取和牛のみが名乗ることができ、さらに全国のブランド牛の始祖牛の一頭でもある「気高(けたか)」という名牛の血統を引き継いでいる必要があるなど、厳しい基準が設けられています。

オレイン酸を豊富に含む「鳥取和牛オレイン55」は、肉質や風味が優れているだけでなく、脂の融点が低いため口の中でとろけるような舌触りで柔らかく、一度食べたら忘れられないようなジューシーで上質な味わいを堪能することができます。

大山の山麓地帯で育てられた「大山ルビー」

鳥取県のオリジナル畜産ブランドの中でも、近年需要が急速に拡大していることで注目を集めているのが「大山ルビー」と呼ばれるブランド豚です。

「大山ルビー」は鳥取県中小家畜試験場が作出した「大山赤ぶた」と、黒豚のバークシャー種を交配して生まれた品種で、平成22年からブランド展開を行っています。

「大山ルビー」は旨味成分であるオレイン酸が多い赤豚と、肉質や柔らかい黒豚のそれぞれの特徴的な性質が受け継がれており、しゃぶしゃぶやとんかつなどといった定番料理から豚肉の持つ旨味を引き出す角煮やローストポークといった料理にも適しています。

「鳥取和牛」「鳥取和牛オレイン55」「大山ルビー」のような鳥取県で生産されているこだわりの畜産物を今後、全国の飲食店に販路開拓していきたい場合、高品質な肉を提供している焼き肉店や和食店などにターゲットを絞り、一般的な品種よりも優れている点を食材の安全性、こだわりの飼育方法と共にアピールし、さらに地元で人気のおすすめのレシピなども紹介していくことで、買い手により興味をもってもらえることでしょう。

まとめ

鳥取県の食材を日本全国の飲食店に売り込むには、以下の2つのポイントを参考にして、ぜひ実践してみてください。

①鳥取県こだわりの食材を仕入れて料理に取り入れることで、差別化を図れることをアピールする。

②希少価値の高い食材は、付加価値のある料理を多く提供する飲食店にターゲットを絞って売り込んでいく。

鳥取県は中国山地や鳥取砂丘、日本海に棲む多くの海洋生物など、唯一無二の環境を活かして生産されている特産物が多く存在し、まだブランドが浸透していない特産物についても、今後、全国的に販路を開拓する余地が十分にあると言えます。

鳥取県が誇るこだわりの食材を全国の飲食店に積極的に使ってもらうためには、積極的にPRを行い、販路を開拓していきましょう。

監修者

アートアンドヘルスケア株式会社 代表取締役 森下浩隆(もりしたひろたか)

アートアンドヘルスケア株式会社

代表取締役 森下もりした浩隆ひろたか-Morishita Hirotaka-

『「いいもの、いい会社」を広める支援することで、世界を一歩前進させる!』という想いで「食品、サプリメント、化粧品等で累計500億の販売してきたノウハウ」を提供しているコンサルタントEC売上4000万を1年半で1億2000万に。【年商3億→年商100億などの実績あり】
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