近江牛から彦根梨まで!琵琶湖の幸が豊かに揃う滋賀県の特産物
近畿地方北東部に位置する滋賀県は、琵琶湖の湖水が育む水産物を始め、山々に囲まれた近江盆地で作られる豊富な農畜産物など、様々な食材が生まれる地として知られています。
また、滋賀県は鮒ずしなどの独自の発酵食を生み出した地としても知られ、その特色ある食文化は京都や大阪のみならず、多くの人々に愛されています。
このように滋賀県には人気が高く、こだわりの特産物が豊富に揃っていますが、滋賀県の食材を扱っており、今後、全国の飲食店に向けて売り込んでいきたい場合、何から始めればいいのでしょうか。
それでは、これまで販売したことのない地域での新規開拓について考えていきましょう。
滋賀県で有名な野菜とは?
滋賀県は温和な気候と農作物栽培に適した土壌、そして琵琶湖の豊かな水資源を有するなど恵まれた環境を生かして数多くの野菜が生産されており、さらに古くから地域で根付いているこだわりの伝統野菜も大切にされています。
その中から、滋賀県を代表する有名な野菜をご紹介します。
滋賀を代表する伝統野菜「日野菜」
滋賀県の伝統野菜の中でも特に高い知名度を誇るのが「日野菜漬け」で有名な「日野菜」です。
「日野菜」は滋賀県蒲生郡日野町鎌掛が発祥とされる伝統野菜で、カブの一種ですが、滋賀県では「日野菜」を独立の品種として扱っており、主に漬物用として販売されています。
日野菜の歴史は室町時代まで遡ります。当時、日野の領主であった蒲生貞秀が自身の居城、音羽城付近の爺父渓(現在の日野町鎌掛)にある正法寺に参詣した際、偶然発見したのが最初だといわれています。
「日野菜」は滋賀県以外にも、九州や信越地方でも栽培されていますが、原産地である日野町産の「日野菜」は食感が良く、特に美味しいといわれています。昔から主に漬物にして食べられてきましたが、最近では天ぷらや温野菜サラダ等の料理に使う人も増えているなど、食べ方のバリエーションが広がってきています。また、1本丸ごと使用する祝賀料理にも用いられます。
江戸時代から受け継がれてきた伝統野菜「伊吹大根」
滋賀県には代々受け継がれてきた歴史ある伝統野菜がいくつか存在していますが、その中でも現在、地元住民によって積極的に復活の取り組みが行われているのが「伊吹大根」です。
「伊吹大根」はずんぐりとした形が特徴の大根で、江戸時代の頃から栽培されている記録が残る、滋賀県坂田郡伊吹町の伝統野菜です。
伊吹町からほど近い伊吹山は日本のそば発祥の地でもあり、現在も伊吹そばは滋賀県の郷土料理として親しまれていますが、江戸時代には「伊吹大根」が伊吹そばの薬味として活用され、当時の人々から絶賛されていたという逸話が残されています。
「伊吹大根」は一般的な青首大根の倍以上の辛味があり、ピリっとした辛さを味わいたい場合はすりおろして食べるのが特におすすめです。辛味が苦手という方は煮物にして味わうとよいでしょう。
歴史ある安土町のブランド野菜「安土信長葱」
織田信長の居城として知られる安土城跡がある滋賀県近江八幡市安土町のブランド野菜として人気を誇るのが「安土信長葱」です。
「安土信長葱」は安土町で作られている白ネギで、その名の通り、安土に城を構えていた織田信長にちなんで命名されました。
「安土信長葱」が栽培されている安土の麓は、鈴鹿山系から流れる豊富な水と水はけの良い砂壌土に恵まれているなど、美味しいネギが育つ条件が揃っています。「安土信長葱」は、1本200g以上、軟白部分が30cm以上という規格を設け、厳しく選別したものだけを出荷するという品質管理を行っています。
「安土信長葱」は強い甘味が特徴のネギで、加熱すると甘味がさらに増すことから鍋物や煮物に適しています。食感・風味ともに良いので、和食のみならず、洋風の料理にも使うことができます。
滋賀県には「伊吹大根」「日野菜」「安土信長葱」のように、領主が発見した品種や、有名な武将にちなんで名付けられた野菜など、歴史にまつわる野菜が多いことから、全国の飲食店に売り込んでいく際には、国産野菜や地域オリジナルのブランド野菜に関心がありそうな飲食店をターゲットに、美味しく育つ理由や、一般的な品種との違いなどの情報に加えて、食材が生まれた経緯を周辺地域の歴史を交えて紹介していくことで、より興味をもってもらえることでしょう。
滋賀県で今注目の果物とは?
滋賀県はぶどうを始め、いちご、メロン、桃など多種多様な果物を生産しており、定番の果物以外にも珍しい品種の果物も多く栽培されています。
その中から、今注目の滋賀県産の果物をご紹介します。
滋賀県だけの幻の果実「アドベリー」
数ある滋賀県産の果物の中でも、入手難易度が極めて高く、”幻の果物”といわれているのが、高島市安曇川町で栽培されている「アドベリー」と呼ばれる果物です。
「アドベリー」はボイセンベリーというニュージーランド産の果実で、「アドベリー」という名は高島市安曇川町の特産にするために、親しまれやすい愛称として命名されました。
「アドベリー」は日本ではほとんど栽培されていない希少な品種の果実です。収穫時期が6月中旬から下旬のわずか2週間と非常に短い上、生の果実は日持ちがしないことから、少量が地元の道の駅で販売されるのみで、他県やスーパーなどの市場に出回ることはほとんどありません。
生果実の入手難易度は高いものの、「アドベリー」を原料としたお菓子やジュース等の加工商品は道の駅で1年を通して購入することができます。道の駅内にあるレストランでは「アドベリー」を使ったスイーツを食べることができ、人気を集めています。
地元民に愛される滋賀県の隠れた名品「彦根梨」
彦根城で有名な滋賀県彦根市の特産品として地元民から根強い人気を誇るのが「彦根梨」です。
「彦根梨」は滋賀県彦根市石寺町で生産されている特産梨で、現在は18戸の農家によって栽培されています。
「彦根梨」は樹上完熟のため高糖度。さらに最新の光センサーを用いた選果機によって厳しい品質チェックを行い、基準をクリアしたものだけが「彦根梨」として認定され、出荷されます。
「彦根梨」は季節によって異なる品種を栽培しており、中でも8月中旬から9月上旬に収穫される「幸水」は強い甘みとジューシーなみずみずしさで特に高い人気を誇ります。
「彦根梨」は少量生産なことからほとんどが地元で消費され、直売所で販売される際には連日長蛇の行列ができるなど、地元民から絶大な人気を誇っています。近年では口コミでその美味しさが広まってきており、「彦根梨」を購入するために他県から訪れる人も増加しています。
湖国の夏の顔「比良すいか」
湖国の夏の顔として、琵琶湖を望む大津市のブランドフルーツとして知られるのが「比良すいか」です。
滋賀県大津市比良地域では江戸時代からスイカの栽培が行われていたといわれており、古くから評判の高い大津市のスイカを多くの人に知ってもらうために、比良地域で栽培されたスイカは「比良すいか」という名で出荷されています。
比良地域は水はけの良い砂地で昼間は日当たりの良い傾斜地であることからスイカの栽培に適した環境があり、甘味、食味ともに良いスイカを作ることができます。
「比良すいか」は農家の高齢化に伴い、ブランド展開を始めた当初よりも出荷数が3~4分の1に減少するなど生産者不足に陥っており、「比良すいか」の生産を今後も維持していくために、後継者探しが課題となっています。
「アドベリー」「彦根梨」「比良すいか」といった滋賀県の果物を扱っており、全国の様々な地域の飲食店に向けて売り込んでいきたい場合、品質や鮮度の良さを重視して仕入れている高級なフルーツパーラーやヘルシー志向のカフェなどにターゲットを絞り、他の産地のブランド果物には無い特徴や滋賀県の果物が人気の理由など、食材の魅力を積極的にアプローチしていくといいでしょう。
滋賀県のご当地水産物
滋賀県は海に接していない内陸県ですが、琵琶湖や河川で様々な水産業が行われており、さらに鮎やマス類などの養殖業も盛んに行われています。
そんな滋賀県が誇るご当地水産物をご紹介しましょう。
琵琶湖の高級魚「ビワマス」
滋賀の郷土料理にも使われることが多く、滋賀県で獲れる魚類の中でも高級魚として扱われているのが「ビワマス」です。
「ビワマス」は琵琶湖固有種のサケ科に属する魚で、大きいものだと60cmほどまで成長する大型の淡水魚です。
他のサケ科と同様に母川回帰本能を持っており、河川でふ化し、そこから2年半から3年半琵琶湖での回遊生活をした後、秋になると生まれた河川に遡上し産卵を行います。
「ビワマス」はまぐろに匹敵するような上質な脂が乗っており、それでいてクセがなくて香りがよく、塩焼きや煮付けなど幅広い料理に活用することができます。
琵琶湖だけに生息する小ぶりの鮎「小鮎」
琵琶湖に生息する魚類の中でも、他の地域では見かけない珍しい特徴を持った魚として知られているのが「小鮎」です。
「小鮎」は名前通り、一般的な鮎よりも小さいサイズの鮎で、成魚になっても10cmほどしか成長しない世界的にも珍しい鮎となっています。
琵琶湖に生息する鮎には、琵琶湖へ注ぐ川を遡って大きく成長する鮎もいますが、多くの鮎は琵琶湖にとどまって生活しています。「小鮎」が大きくならない理由には琵琶湖には川よりも餌となる藻類が少なく、動物性のプランクトンを食べて生活していることが主な原因だといわれています。
「小鮎」は、鮎特有のほろ苦さと清々しい香りで、お酒のお供としても相性が良く、また、骨が柔らかく、まるごと食べることができるので天ぷらにするのが人気なほか、甘露煮、実山椒を合わせた佃煮などが有名です。
琵琶湖の春の名物「ホンモロコ」
琵琶湖の固有種であるものの、その美味しさから各地で養殖や移植が行われるほどの人気を呼んでいる魚が「ホンモロコ」です。
「ホンモロコ」はコイ科タモロコ属に属する淡水魚で、コイ科の魚類では最も美味しい品種としても知られ、琵琶湖以外にも奥多摩湖や山中湖など各地の湖に移植もしており、埼玉県や山梨県などでは養殖業も行われています。
琵琶湖においての「ホンモロコ」の漁獲量は一時期、琵琶湖の水位操作による卵の干出が原因でピーク時の40分の1まで落ち込みましたが、その後、資源回復に努めた結果、少しずつ回復の兆しがみられています。
「ホンモロコ」は春先が最も美味しい時期とされていることから琵琶湖の春の名物として人気を誇ります。クセがなく、淡泊な白身の魚ですが、旨味や甘味も感じることができ、塩焼きなどのシンプルな味付けの料理で食べるのが特におすすめ。骨が柔らかいので天ぷらにも適しており、様々なジャンルの料理に活用できます。
「ビワマス」「小鮎」「ホンモロコ」のような希少性の高い滋賀県の水産物を全国の飲食店で使ってもらうには、珍しい品種の魚料理を提供する海鮮料理店や日本料理店をターゲットに、滋賀県産の水産物が優れている理由や琵琶湖を中心とする滋賀県の水産物の歴史など、他にはない独自の魅力を伝えながらPRしていくといいでしょう。
滋賀県で人気のある畜産物
滋賀県においての畜産業は全国的に見るとシェアが低いものの、東近江地域を中心に高品質で安全性の高い畜産物を生産しており、全国的に高い評価を得ている畜産物も多くあります。
その中から、滋賀県の人気の畜産物をご紹介しましょう。
江戸時代から人気のブランド牛「近江牛」
滋賀県を代表する牛肉で、日本三大和牛のひとつとして数えられ、そしてブランド牛肉としての先駆け的存在として知られるのが「近江牛」です。
「近江牛(「おうみうし」または「おうみぎゅう」)」は400年以上前から肥育されている黒毛和種で、水戸藩主・徳川斉昭が近江牛の味噌漬けを好んだことで有名です。仏教の教えで肉食は禁止されていましたが、当時から味が良いことで有名だった「近江牛」は、「薬食い」と称して、将軍や大名への献上品となっていました。
現代の「近江牛」は、山々に囲まれた穏やかな気候と豊かな水に恵まれた環境で飼育されており、エサには近江米の稲わらや栄養を考えた良質の配合飼料を与えるなど、安心・安全に配慮した生産管理が行われています。
「近江牛」は美しい霜降りが自慢で、豊富なオレイン酸が含まれていることから口溶けが良く、高級和牛特有の旨味も存分に堪能することができ、ステーキ、すき焼き等、ジャンルを問わず幅広い料理に取り入れることができる和牛です。
7年もの歳月をかけて開発した三元交配種「近江しゃも」
「近江牛」に続く、滋賀県の特産品として広く親しまれているのが「近江しゃも」です。
「近江しゃも」は滋賀県畜産技術センターが7年もの歳月をかけて開発したオリジナル品種の肉用鶏で、平成5年に誕生しました。
「近江しゃも」は温厚な性格であり、味が良い横斑プリマスロックの雌と、肉質の良いロードアイランドレッドの雄を交配してできた雌に、鶏肉の中でも美味しさに定評のある軍鶏の雄を交配して生まれた三元交配種の地鶏です。
「近江しゃも」は親鶏それぞれの長所を持っていることから、肉質やコク、旨味のバランスが優れており、肉本来の味もしっかりとあるのでソテー等のシンプルな味付けの料理に適しています。
牛肉のような霜降りが入った「藏尾ポーク」
滋賀県日野町で展開しているブランド畜産物として、近年注目を集めているのが「藏尾ポーク」です。
「藏尾ポーク」は自然豊かな山々に囲まれた豚舎でのびのびと育てられており、成長に合わせて小麦を中心とした独自に配合した飼料を与えていますが、さらに加えて、バームクーヘンを与えているのが特徴となっており、別名「バームクーヘン豚」と呼ばれることもあります。
「藏尾ポーク」は脂の甘味と柔らかな口当たりで豚肉では珍しく、牛肉のような霜降りが入っているのが特徴となっており、全国銘柄ポーク好感度コンテストでは最優秀賞を受賞するなど、品質・味共に定評があり、ウィンナーやカレーといった加工品も展開されています。
「近江牛」「近江しゃも」「藏尾ポーク」のような滋賀県オリジナルの畜産物を全国各地の飲食店に売り込んでいくには、高品質な全国のブランド畜産物をメニューに取り入れている
焼き肉店や肉割烹などをターゲットに、飼育風景や与えている飼料の紹介、地元で人気の調理方法など相手の興味を引くような情報を織り交ぜながらアピールしていくといいでしょう。
まとめ
滋賀県の食材を日本全国の飲食店へ売り込んでいくには
①食材が生まれた経緯を周辺地域の歴史を交えてPRしていく
②地域のブランド食材に関心がありそうな飲食店に売り込んでいく
この2つのポイントを参考にして、ぜひ実践してみてください。
滋賀県は琵琶湖やその周辺で生産されるこだわりの特産品が充実しており、琵琶湖は全国的に認知度が高いことから、まだブランドが浸透していない食材についても、積極的にPRしていくことで関心を持ってもらえる可能性が高く、今後、全国区に販路開拓していける余地が十分にあると言えます。
滋賀県が誇るこだわりの食材を全国の飲食店に使ってもらうためには、まずは認知度UPを図ることからスタートし、販路を開拓していきましょう。
監修者
アートアンドヘルスケア株式会社
代表取締役
『「いいもの、いい会社」を広める支援することで、世界を一歩前進させる!』という想いで「食品、サプリメント、化粧品等で累計500億の販売してきたノウハウ」を提供しているコンサルタントEC売上4000万を1年半で1億2000万に。【年商3億→年商100億などの実績あり】
集客法、リピート促進法(ファン作り)、また販売のシステム化のアドバイス、実装までを支援してます。