あけぼの大豆から甲州地どりまで!「甲斐の国」山梨県の特産物

山梨県の食材を日本全国の飲食店へ売り込むには

山梨県は、中心部の甲府盆地を除くと80%以上が山地となっており、特有の気候風土を生かして様々な農産物が生産されています。

中でも山梨県は果物の生産が盛んで、ぶどうや桃などは日本一の生産量を誇ります。さらに富士の湧水に恵まれた水資源を生かして行われる養殖業も栄えており、綺麗な水で育つ養殖魚は品質・味共に高い評価を得ています。

そして峡北地域や富士西麓地域では肉用牛や豚の畜産業が行われており、山梨ならではの飼料を与えて育まれるブランド畜産物も展開されています。

山梨県は東京を中心とした関東地方へ出荷されている食材が多くある一方で、まだ知られていない食材も沢山あります。

こうした認知度が低い食材を全国の飲食店に売り込んで行くには何から始めればいいのでしょうか。

それでは、遠方での新規開拓をどのようにすればいいかを考えていきましょう。

山梨県で有名な野菜とは?

山梨県で有名な野菜とは?

山梨県は標高200mから1,200mまでの標高差を活用して生産されるトマトやキャベツといった野菜から、甲府盆地の昼夜の温度差によって美味しく育つナスやスイートコーンまで多様な野菜が生産されており、各地域にはこだわりの伝統野菜も存在しています。

その中から、山梨県を代表する有名な農産物をご紹介しましょう。

この地でしか育たない幻の大豆「あけぼの大豆」

山梨県で有名な特産物の中でも、限られた生産量からほとんど市場に出回らず、「幻の食材」と言われているのが、山梨県身延町で生産されている「あけぼの大豆」です。

「あけぼの大豆」は明治時代に関西地方から仕入れた大豆を身延町で栽培したところ、通常よりも大きいサイズの大豆が収穫されたことから誕生した大豆で、大きくなった理由には身延町特有の気候と土壌が大きく起因していると言われています。

「あけぼの大豆」は標高300mから700mの身延町曙地区で採取した種子を使い栽培しており、少しずつ認知度が広がっているものの、生産者の高齢化によって大量生産ができず、一部は東京などの関東地方にも出荷されていますが、ほとんどが地元で消費されています。

「あけぼの大豆」の枝豆は通常のものよりも粒が大きいので歯ごたえをしっかりと感じることができ、さらに大きいだけでなく、糖度や旨味も一般の大豆より多く含まれているため濃厚な味わいを堪能することができます。

江戸時代から伝わる山梨の伝統野菜「やはたいも」

山梨県甲斐市八幡地区で江戸時代から伝わる伝統野菜として有名なのが「やはたいも」という里芋です。

「やはたいも」が栽培される八幡地区は、釜無川の氾濫による水はけの良い肥沃な土壌を有しています。この作物の栽培に適した環境により、粘り気が強く、きめ細かで良質な里芋を作ることができ、地域の特産品として親しまれています。

「やはたいも」は連作障害が起こりやすい品種であることから、収穫後3年から4年は畑を休ませる必要があり、そのため、毎年の生産量が限られるため、少量のみが販売されています。

「やはたいも」は他の里芋と一味違う独特の風味やなめらかな食感を堪能することができ、東京や京都などの一部の高級料亭で使われることもある高級食材となっています。

山梨県の郷土料理として有名なほうとうやのっぺい汁とも相性が良く、さらに「やはたいも」を皮のまま茹で、食べる直前に皮をむき、味噌や塩をつけて食べる「きぬかつぎ」は地元でも高い人気を誇ります。

120cmを超える山梨の名物野菜「大塚にんじん」

山梨県で展開されているブランド野菜の中でも、町おこしに貢献している野菜として人気を集めているのが「大塚にんじん」です。

「大塚にんじん」は国分鮮紅大長と呼ばれる、群馬県で誕生し全国に広がった品種のにんじんで一般的なにんじんよりも太く、細長い形状が特徴です。一般的な国分鮮紅大長の長さは60cmほどですが「大塚にんじん」は平均で80cm以上の長さがあり、最長で120cmを超えることもあります。

長くなる理由には「大塚にんじん」を栽培している国分地区は、きめ細かな土壌と石の混じらない肥沃な土地を有していることが関係しており、このような土地は地元で「のっぷい」と呼ばれ、通常よりも長さのあるにんじんが育つようになります。

毎年12月には一般の方も参加できる収穫祭が開催されるなど、町おこしにも貢献している「大塚にんじん」は、にんじん特有のまろやかな甘味と豊かな風味を持ち、地元ではほうとうや炊き込みご飯、煮物など幅広い料理に取り入れられています。

「あけぼの大豆」「やはたいも」「大塚にんじん」のような山梨県産の農産物を各地の飲食店に向けて売り込んでいくには、全国の美味しい野菜や伝統野菜に関心がありそうな健康志向のレストランや野菜専門のレストランなどをターゲットに売り込んでいきましょう。

その際には、気候や自然環境など、山梨県の特色ある生産地について詳しく説明しながら、他の地域よりも美味しく育つ理由をアピールしていくといいでしょう。

山梨県で今注目の果物とは?

山梨県で今注目の果物とは?

山梨県はフルーツ王国と呼ばれることもあるなど、幅広い品種の果物を生産しており、全国各地への出荷だけでなく、海外へも輸出しています。

その中から、今注目の山梨県産の果物をご紹介します。

山梨県で生まれたブランド桃「夢みずき」

山梨県には県内で誕生したオリジナル品種の桃がいくつかありますが、その中でも特に注目を集めているのが「夢みずき」です。

「夢みずき」は2013年に品種登録され、2015年頃から展開されている山梨県オリジナル品種の桃で、その名は、”夢のようなみずみずしく美味しい桃”をイメージしてつけられました。

「夢みずき」は2000年に山梨県果樹試験場が生み出し、評判の高い大玉の「浅間白桃」と、食味が良い早生種の「暁星」という品種を交配・選抜育成して誕生しました。玉張りが優れ、食味も良好なことから、山梨県の主力品種として産地化が進んでいます。

「夢みずき」は糖度が高めで酸味や渋みが少ないことから、爽やかな味わいを堪能でき、また、果肉は繊維が少ないため柔らかく、果汁が豊富なのでジューシーな食感も楽しめます。

山梨県が誇る高級ぶどう「甲斐路」

山梨県で生産されているぶどうの中でも、シャインマスカットと並ぶ高級品種として知られているのが「甲斐路」です。

「甲斐路」は山梨県の植原葡萄研究所が「フレーム・トーケー」と「ネオ・マスカット」という品種を交配して誕生したオリジナル品種の赤ぶどうで、1977年に品種登録されました。

果皮が薄く、皮ごと食べられる「甲斐路」は、赤いマスカットと呼ばれることもあるなど、マスカットのような爽やかな風味が特徴で、大粒なので1粒でも高い満足感を得ることができます。

「甲斐路」の糖度は20度以上を超えることもあり強い甘味を楽しめるのも自慢です。酸味が少ないのでケーキやタルトといったスイーツとも相性が抜群です。

山梨が誇る夏の味覚「サマーエンジェル」

山梨県はプラムの収穫量日本一を誇り、県内では様々な品種のプラムが栽培されています。その中の一つで、山梨県が開発した品種として有名なのが「サマーエンジェル」です。

「サマーエンジェル」は山梨県果樹試験場が「ソルダム」と「ケルシー」という2種類の品種のプラムを交配して作出した山梨県オリジナル品種のプラムで、2005年に品種登録されました。

「サマーエンジェル」は酸味が適度にありながらも一般的な品種のプラムよりも糖度が高いことから、食味が良く、プラムの酸っぱさが苦手な方でも食べやすいと評判になっています。

名前の通り、夏にシーズンを迎える「サマーエンジェル」はゼリーやコンポートなど、夏ならではのスイーツに使うことができるだけでなく、甘味と酸味のバランスが良いことから、ジャムにしても美味しく食べることができます。

「夢みずき」「甲斐路」「サマーエンジェル」のような個性豊かな山梨県産の果物を扱っており、全国の飲食店に売り込んでいくには、個人経営のフルーツパーラーなど、希少性の高いブランドフルーツに興味がありそうな飲食店をターゲットにして売り込んで行くといいでしょう。

また、売り込みの際には、栽培時のこだわりやブランド誕生の逸話など、相手が関心を持ちそうな情報を織り交ぜながら食材の魅力を積極的にアピールしていくといいでしょう。

山梨県のご当地水産物

山梨県のご当地水産物

山梨県は内陸県でありながらも、淡水魚の養殖を中心に水産業が盛んに行われており、山梨の美味しい養殖魚を認知してもらうため、ブランド化も進んでいます。

そんな山梨県が誇るご当地水産物をご紹介しましょう。

富士北麓の名水で育つ「甲斐サーモンレッド」

山梨県では恵まれた清涼な水を生かして淡水魚の養殖が盛んに行われていますが、中でも特に有名なブランド養殖魚が「甲斐サーモンレッド」です。

「甲斐サーモンレッド」は山梨県養殖漁業協同組合が開発したニジマスで、元のブランド名は「甲斐サーモン」でしたが、平成28年3月から「甲斐サーモンレッド」という名称に変更しました。

「甲斐サーモンレッド」は山梨県の特産品として知られる赤ワインの醸造過程でできるぶどうの果皮を粉末にした餌を与えて飼育しているのが特徴で、本来なら廃棄される果皮を飼料に配合することで、持続可能な社会への取り組みにも貢献しています。

ぶどうの果皮を与えることで鮮度を長く保持する効果や、コクや旨味が増加することが試験結果によって判明しており、さらに脂もほどよく乗っているのでジューシーな味わいを堪能できます。

山梨県の新ブランドサーモン「富士の介」

山梨県の新たなブランド水産物として、高い注目を集めているのが「富士の介」です。

「富士の介」は山梨県水産技術センターがキングサーモンとニジマスを交配し、開発したオリジナルのブランドサーモンです。

キングサーモンはサケ類の魚の中でも高級品種として扱われているものの、淡水で飼いにくいことから日本ではほとんど養殖されていない希少な魚として知られています。
「富士の介」は全国のご当地サーモンの中で、唯一、このキングサーモンの血を引いている魚という特長を持っています。

「富士の介」は豊かな脂の旨味やきめ細かな肉質で上品な味わいを楽しむことができます。また、養殖魚特有の臭みもないので、寿司や刺身など生でも美味しく食べることができます。

京都の料亭御用達の高級魚「ふじかわもろこ」

山梨県が開発した品種ではないものの、山梨県の高級養殖魚として定着しているのが「ふじかわもろこ」です。

「ふじかわもろこ」は「ほんもろこ」と呼ばれるコイ科の魚をブランド化したものです。
コイ科の魚の中でも美味しさに定評がある「ほんもろこ」は京都の料亭で提供されることもある高級魚として知られています。

「ほんもろこ」は元々琵琶湖の固有種ですが、ここ数年の環境変化によって数が激減するなどの課題がありました。そこで山梨県では上質な「ほんもろこ」を安定して供給できるように2007年より試験養殖を開始。今では富士川町、身延町、南部町の4か所の養殖所で生産されるなど地域ブランドとしてその地位を確立しています。

「ふじかわもろこ」は小型の魚ながらも脂がたっぷりと乗っており、さらに旨味も豊かに含まれているので素焼きなどの素材の味を生かした料理や、天ぷらなどの揚げ物にも適しています。

「富士の介」「甲斐サーモンレッド」「ほんもろこ」のような都心部では見かけないようなこだわりの山梨県の水産物を扱っており、今後、全国の飲食店に向けて売り込んでいくには、ご当地サーモンを使ったメニューに興味を示す居酒屋や、割烹などをターゲットに稀少な高級食材として「ほんもろこ」を売り込んでいくのがよいと考えられます。

売り込んで行く際には、脂乗りがいいことや、淡水魚特有の生臭さがないことなど、品質の高さも積極的にアピールしていきましょう。

山梨県で人気のある畜産物

山梨県で人気のある畜産物

山梨県では豊かな自然の中で育てられる牛や豚、卵、そして牛乳やチーズなどの乳製品など、様々な畜産物が生産されており、どれも品質の良さに高い定評があります。

その中から、山梨県の人気畜産物をご紹介しましょう。

ワインから出る副産物で育まれた「甲州ワインビーフ」

山梨県では「甲州統一ブランド食肉」と呼ばれる5種類のブランド畜産物を展開しており、全てのブランドに「甲州」という名称が含まれていますが、その中でも特に高い知名度を誇っているのが山梨県甲斐市にある小林牧場が生産している「甲州ワインビーフ」です。

「甲州ワインビーフ」はホルスタイン種と黒毛和種を掛け合わせた交雑種の牛で、標高1000mの澄んだ空気の中で、豊かな自然と綺麗な水に恵まれた環境で育てられています。

「甲州ワインビーフ」は、名前の通り、与えている飼料に特徴があります。

山梨県の特産品であるワインを作った際に出るぶどうの搾りかすを配合した飼料を、栄養が赤身に行き渡るとされる生後半年から1年半の間に与えています。

ぶどうの搾りかすを与えることで肉質が改善し、肉の臭みがなくなり、肉の酸化が進みにくくなるといった効果が期待でき、さらに旨味やほどよい甘味もあり、濃厚な味わいを楽しむことができます。

山梨を代表する銘柄豚「甲州富士桜ポーク」

山梨県が長年の歳月をかけて生み出した銘柄豚であり、県内の飲食店やホテルで高い人気を誇っているのが「甲州富士桜ポーク」です。

「甲州富士桜ポーク」は山梨県の畜産試験場が開発した「フジザクラ」と呼ばれるランドレース種の豚の雌に、同試験場が平成24年に開発した「フジザクラDB」の雄を交配して誕生した、肉質に優れたオリジナル品種です。

「甲州富士桜ポーク」の歴史は古く、1959年に台風による被害を大きく受けた際に米軍曹長のサポートによってアメリカからアイオワ豚が寄贈され、飼育を始めたのがきっかけです。その後、アイオワ豚の品種改良が続けられ、「甲州富士桜ポーク」の親である「フジザクラ」と「フジザクラDB」が誕生しました。

「甲州富士桜ポーク」は麦20%やオリゴ糖などを配合した独自の飼料を与えていることから、肉質のきめが細かく、さらに保水性が高いのでジューシーな口当たりを堪能できます。

美味しさを追求し、誕生した「甲州地どり」

全国にはこだわりの地鶏ブランドが存在していますが、山梨県を代表する地鶏ブランドとして最も有名なのが「甲州地どり」です。

「甲州地どり」は山梨県で改良したシャモの雄と白色プリマスロックという品種の雌を交配して誕生した品種で、美味しい地鶏を届けたいという想いから山梨県畜産試験場と甲州地どり生産組合が共同で開発しました。

通常、ブロイラーの飼育日数は50日程度ですが、「甲州地どり」は120日間ゆっくりと時間をかけて育てているのが特徴です。広々とした土地で飼育されており、よく運動させることで肉質が引き締まり、旨味が凝縮されます。

「甲州地どり」はほとんどが飲食店向けに販売されますが、直売所では一般の方も購入することが可能で、ソーセージ等の加工品も作られています。

「甲州ワインビーフ」「甲州富士桜ポーク」「甲州地どり」のような注目の山梨県産の畜産物を扱っており、全国の飲食店に売り込むには、ハンバーグ専門店や焼き鳥専門店など、肉料理をメインに扱い、その中でも質の高い国産肉を優先して仕入れている高級志向の飲食店をターゲットに売り込んで行くといいでしょう。

売り込む際のポイントは、与えている飼料やその飼料を与えることで期待できる効果など、
他の地域の畜産物にはない魅力を積極的にアピールし、魅力を感じてもらうのがいいでしょう。

まとめ

山梨県まとめ

山梨県の食材を日本全国の飲食店へ売り込んでいくには

野菜専門やハンバーグ専門など特定の食材にこだわった飲食店をターゲットに売り込んで行く

②飼料や栽培環境など美味しい食材を作れる理由や稀少性を明確に伝えながらアピールしていく

この2つのポイントを参考にして、ぜひ実践してみてください。

山梨県は古くから親しまれている歴史のある食材から、ブランド化して間もない食材まで、今後人気が出るポテンシャルを秘めた特産物が充実しており、飲食店に向けて積極的にPRしていくことで販路開拓していける余地があるといえます。

山梨県が誇るこだわりの食材を全国の飲食店に使ってもらうためには、まずは認知度UPを図ることからスタートし、稀少性や美味しさを最大限アピールして販路開拓していきましょう。

監修者

アートアンドヘルスケア株式会社 代表取締役 森下浩隆(もりしたひろたか)

アートアンドヘルスケア株式会社

代表取締役 森下もりした浩隆ひろたか-Morishita Hirotaka-

『「いいもの、いい会社」を広める支援することで、世界を一歩前進させる!』という想いで「食品、サプリメント、化粧品等で累計500億の販売してきたノウハウ」を提供しているコンサルタントEC売上4000万を1年半で1億2000万に。【年商3億→年商100億などの実績あり】
集客法、リピート促進法(ファン作り)、また販売のシステム化のアドバイス、実装までを支援してます。